読書 那須 省一 『アメリカ文学紀行』

”アメリカ文学紀行”
アメリカ文学紀行

那須 省一 著 『アメリカ文学紀行』を読む

ジョン スタインベック(John Steinbeck )
『怒りの葡萄(The Grapes of Wrath)』
1930年代には大規模資本主義農業の進展や、オクラホマ州はじめアメリカ中西部で深刻化したダストボウル(土地の荒廃による砂嵐)により、所有地が耕作不可能となって流民となる農民が続出し、社会問題となっていた。本作は当時の社会状況を背景に、故郷オクラホマを追われた一族の逆境と、不屈の人間像を描く。

“Seems like our life’s over an’ done.”

“No,it ain’t,” Ma smiled. “It ain’t,Pa.  An’ that’s one more thing a women knows. I noticed that. Man,he lives in jerk -baby born an’ a man die, an’ that’s a jerk -gets a farm an’ loses his farm, an’ that’s a jerk. Women, it’s all one flow, like a stream, little eddies, little waterfalls, but the river, it goes right on. Women looks at it like that. We ain’t gonna die out. People is goin’ on – changin’ a little, maybe, but goin ‘right on.”

避難した先で仕事も食べ物もなく、先が見えない疲労困憊の父親が嘆く。「どうやら俺たちの人生は終わったみてえだな」

これに対し、Maは微笑みすら浮かべてそんな弱気を一蹴する。
「いや、そんなこたないよ。まったくない。お前さん、女には分かるんだよ。これも男との違いの一つだよ。いいかい、よくお聞き。男は浮草のようなものだよ。男はおぎゃあと生まれそして、老いてくたばる。それこそ浮草だ。農園を手に入れて、それを手放す。それも浮草だ。女は違う。あたいたちは延々と続くんだよ。せせらぎのように、渦巻のように、滝のように。そいでもってあたいたちは川になるんだよ。いつもでも流れが絶えない。女はそんなふうに物事を考えるんだよ。あたいたちは死に絶えなんかしないよ。人はずっと生きていくんだよ。多少変化はするかもしれない、たぶんね、でも、ずっと続いていくんだよ」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA